昔、江戸の町に正直清兵衛という働き者の屑屋さんがおりました。
ある日のこと、いつものように天秤棒を担いで裏長屋を回っておりますと、お侍の娘しづに呼ばれます。
しづの父親はすでに亡くなり、母親の千代は病弱で働けず、家中の物はすべて売りつくしてしまい、その日の米にも困る始末。
何か売る物はないかと、しづ達親子は困り果てていたのです。
二人の暮らし向きを知った屑屋さんは、ほんの少しの紙屑でも快く引き取ってくれました。
そんな屑屋さんの人柄を見込んだ千代は、家に代伝わる仏像を買って欲しいと頼みます。
腐屋さんは断りきれ ず、もうけは半分づつと約束して仏像を二百文で引き取るのでした・・・・