
人を信じられなかった盗人のかしらの心が洗われていく名作「花のき村と盗人たち」の舞台化。前進座ならではの歌舞伎の手法を取り入れた、伝統文化漂う舞台としてお届けします。
■あらすじ
花のき村はほっこりと美しい小さな村。 どこの家にも鍵などはなく、これまで泥棒など入ったことのないのどかな村。
そこへ4人組がやって来ます。
かしらは本当の泥棒ですが、3人の弟子たちは今までの仕事がいやになって、これから泥棒になろうというのです。
かしらは弟子たちに、忍んで入れそうな家をさがして来るよう言い聞かせ、村の中を調べに行かせます。
1人になってしばらくすると、仔牛をつれた品の良い不思議な男の子がやってきます。男の子は、「これ、あずかっておくれ。」と言って、かわいい仔牛をあずけていきます。人からものを盗んだことはあっても、あずけられるなんて・・・
仔牛はすっかりかしらになついてしまいます。かしらのことを怖がらない村の女の子の相手をしているうちに、かしらは子どもの頃のことを思い出して、つい涙ぐんでしまいます。
そこへ弟子たちが戻ってきて、仔牛がいるのでびっくり。しかし、いつまでたっても男の子は仔牛を取りにきません。かしらは、むしょうに仔牛を男の子に返したくなって、村中を探しまわるのですが、男の子は見つかりません。
そこへ女の子が村役人を連れてきてしまい・・・いつの間にか夜になり、きれいな月明かりの中、奇妙な夜が深まっていくのです。